お絵描きホーホー論

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    アタリ線を描かないデッサン

     久しぶりの更新となりました。最近はお絵描き練習の方針に若干の変更が必要と感じている所存です。なぜなら、以前「右脳・左脳で使い分ける人体デッサンのアタリ線」の記事で、アタリ線をふんだんに使うデッサン方法を考えました。しかし、そこで考案した方法でデッサンが上手くなったかというと定かではありあせん。何か根本的な間違いがあるのではないかと思って、改めて確実に上達できる練習方法を考えているうちに新しい発見がありました。

     思い立ってから始めにやったことは、気になる絵の描き方をするある漫画家のコミックを丸写しするという練習でした。その漫画家の絵は自然な構図で胡散臭くなく、躍動感があります。あえて言い表すなら「ポーズ(キメ絵)」ではなく「スチル(一時停止)」という感じで、画面内の空気や前後の時間が見えそうです。それを模写して研究してみようという試みでした。ところが、模写するときにアタリ線が役立つ場面がほとんどなく、むしろ手間がかかって煩わしいとさえ思えました。そもそも漫画の一コマは非常に小さいところもあるのでアタリ線を描くようなスペースの余裕はありません。

     もしかして漫画を描くのにアタリ線は使わない方がいいのではないかという疑問が生まれ、仕方ないのでアタリ線は描かずに大まかなラフを描いて、最後に一発描きをするように描きました。すると意外に描きやすいく、さらに時間もかからない。何より形式に囚われず自由に描く事ができます。アタリ線というのは、あくまで完成形の違和感を除去するためのガイドなので、最初からアタリ線ありきのデッサンだと同じような構図の直立人間ばかりになり易い気がします。そこで、あえて正反対の方法でデッサンしてみてはどうだろうかと。つまり、今回はアタリ線を一切使わないデッサンについて考えてみようと思います。

    イメージのシルエットをラフに描く

     重要なのは人体の単純化です。具体的には、まずはこれから描こうとしている対象のシルエットを大まかに描きます。人体の骨格とか解剖学とかは忘れて、棒人間に肉が付いただけの記号人間で構いません。このとき人体の位置・大きさ・角度などのバランスに着眼します。これは頭に浮かんだイメージを画面上に転写した場合どう映るかを確かめる作業です。言っている意味が分からないという人は『POSE MANIACS』の「ネガティブドローイング」みたいなものだと思って下さい。シルエットだけで躍動感を表現できたら十分でしょう。

    人体を単純化した描き方

    今「ネガティブドローイング」の話が出ましたが、今回の発見でこの練習法の価値が分かった気がします。人物の絵を普通のやり方で描けば、胴体に手足さえ生えていればデッサンが狂っていても人間と認識できるでしょう。一方、シルエットだけで描いたときにデッサンが狂っていると、下手をすれば何の物体なのかすら分からなくなります。重要なのは人体のバランスに忠実なデッサンかどうかです。パーツの細かい形状はガン無視です。まずは「この雰囲気は人体だ」とか「この位置関係だとここにあるのは手だ」とか「このシルエットだとおそらく次の瞬間はこっちに動くだろう」というのが読み取れるシルエットを描けるようになることが「ネガティブドローイング」の目的だったのです。

    さっそくポーマニやってみよう

     それでは「イメージのシルエットをラフに描く」という要素を組み込んで『ポーマニ』でクロッキーしてみましょう。パーツ形状はガン無視して直線で描いてしまえばいいです。解剖学を意識しながらだと人体にパースがかかったときに筆運びに迷いが生まれ、そうしている間にも惰性で線を引いてしまい、意図しない寸法でデッサンしてしまいます。だから、きつくパースがかかっているような難しい構図のときは、難しく考えずに奥行きに従ってシルエットが縮小するという程度の表現でかまいません。

     描画時間は10~30秒くらいに抑えます。とにかくモデルが表示された瞬間に手を動かし始めて描き終えるまで止めないようにして反射神経を鍛えます。この反射神経とは具体的に言うと、まずモデルを視認して知覚し、知覚情報が一体何なのか判断するため脳内の知識と照合し、最終的に描画するため運動神経に線を描く命令を出す、このプロセスにおける情報処理を行う速度のことを言っています。そして短い時間でクロッキーを行うと、物理的に不可欠な一番目と三番目のプロセスに対して、二番目のプロセスは時間削減のかっこうの的となります。ちなみに「右脳で描く」行為とは二番目のプロセスの比重が小さくなっているものなのだと思います。つまり、短時間で描くことで考える時間を与えず、先入観を排除して絵が描けるということです。

     シンプルな人体のシルエットを描いてしまえば、今度はそのラフのデッサンの狂いを修正するときにアタリ線が真価を発揮するわけです。以前の記事では描き出しを安定させるためにアタリ線を使おうとしていましたが、アタリ線を描くもっと前にやるべき事があったという事ですね。以前に考案したことを補強する方法が発見できたみたいで、また面白くなってきました。

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