お絵描きホーホー論

理屈で絵が描ける事を証明する

建築パース理論補講 〜2点透視を2つ重ねると3点透視になる〜

2つの質問

この度お絵描きホーホー論に初の質問コメントを頂きました。そして、その質問に回答しようとしたところ結構な量の図説が必要になったので、今回の記事にまとめて回答とさせて頂こうと思います。では、まずその質問の内容を要約しときましょう。質問コメントを頂いた記事はこちらの建築パースを徹底研究!パース理論の基礎知識と描き方の記事の主に2ページ目の内容についてですので、軽く目を通してから今回の記事を読むようにして下さい。

質問1:各透視図法の図説では底面までの作図で終わっているので続きの作図方法が分かりません。

質問2:三点透視図法のGLとGL’が何故あのような位置に作図されているのかが分かりません。

質問1への回答

Q:各透視図法の図説では底面までの作図で終わっているので続きの作図方法が分かりません。

建築パースの二点透視図法

この疑問に対しては一言で答えることができます。ズバリ、GL上の距離にある物が原寸となるので、立方体の手前の垂直の辺を描いてから消失点に向かって縮小した奥の垂直の辺を作図すればいいのです。そうすれば手前の3つの垂直の辺はパースに則った寸法で作図できるので、今度はそれら垂直の辺の上側の頂点から消失線を描けば必然的に立方体の上面も作図できます。これで立方体の底面、側面、上面が作図できました。

このとき画角が小さくて消失点が画面外の遠くにあって作図しにくいというときは介線法などを駆使してください。建築パースでは5つの作図方法(レベル法、消失点法、対角消失点法、M点法、介線法)がありましたが、それの使い分けについては記事の中で説明しているので参考にしてください。あと一つ補足しておくと、原寸というのはパースによって縮小や拡大がされていないという意味なので上手いこと解釈してください。

質問2への回答

Q:三点透視図法のGLとGL’が何故あのような位置に作図されているのかが分かりません。

建築パースの三点透視図法

この疑問に回答するには、まずGLってなんだっけ?というところから始めなければなりませんでした。これについては建築パースを徹底研究!パース理論の基礎知識と描き方の記事の4ページ目に当時の解釈をまとめていましたが、もう少しシンプルにまとめ直した方が良さそうです。

今の考え方でまとめ直すと、GLとは、正方形の上面図(平面図)の中の一つのと頂点の位置を、実際の遠近感の中で見るとどの辺りの位置になるのかということを、建築パース理論に則って幾何学的に作図した水平線のことである、ということになります。分かりにくいですね。もう少しシンプルにまとめましょう。

つまりGLとは、上面図におけるある点の、実際の見え方における距離(遠近感)が知りたいときに気軽に作図するものです。建築パースの作図をするときには、まずここの点のGLを描かないといけないとかいうことはありません。知りたい点について、いつでも何度でも作図すればいいのです。ただ、GLを描きまくっても手間がかかるだけで、そもそもGLを多様せずに描く方法があるから1~2本しか作図されていないだけです。

以前書いた建築パースを徹底研究!パース理論の基礎知識と描き方の記事では、基準にするために「ある点」の実際の見え方を作図しようとすると、偶然視界の下端にある正方形の手前の頂点が分かりやすかったというだけで、別に正方形の奥の点でも、少し手前の地面からでもGLを作図することはできるということです。

三点透視図法は二点透視図法の発展形

以上を踏まえて、三点透視図法の作図でGLとGL’があの位置に作図されている理由を考えます。この建築パースを徹底研究!パース理論の基礎知識と描き方の記事の三点透視図法の作図手順でのGLとGL’は、単に立方体の上面の手前の頂点についての実際の見え方を定め、そこを基準に立方体の全体を作図していこうとして描かれただけです。

別にこの点についてGLとGL’を描かなかったとしても、奥の点についてGLを描けば立方体は作図できますが、それでは分かりにくいので手前の頂点についてGLとGL’を作図した、というだけの話です。手前の頂点についてGLを描いたということは、手前の頂点の位置の垂直の辺は原寸ということです。その原寸の辺から、奥行きの縮小がなされた奥の垂直の辺が作図されているのが分かると思います。

あと回答が必要な疑問が一つ残っています。それは「GLとGL’」について質問されていることです。建築パースを徹底研究!パース理論の基礎知識と描き方の記事の三点透視図法の作図手順の図説では、確かにGLとGL’というものが違った姿で描かれています。これだけ見るとGLとGL’は異なるものに見えるかも知れません。本当にそうでしょうか?

ではGL’の正体を解明してみましょう。GL’って特殊なGLのことなのでしょうか?いいえ、ただのGLです。それを一つの立方体を使って説明してみましょう。下図の立方体と、三点透視図法で使っている視円錐の上面図をご覧ください。

三点透視図法の立方体と視円錐1

ではこの立方体を時計回りに120度くらい回して見てください。すると下図のように何の変哲もない立方体になりますね。先ほどとは少しばかり奥行きの縮小の具合が変わりましたが、同じ三点透視の立方体には違いありません。

三点透視図法の立方体と視円錐2

つまり、GLだろうとGL’だろうと、その方向から立方体を見たときの、三点透視図法の上面図における手前の頂点を基準にしてGLを作図し、そこから立方体の全体を作図していこうとしているだけなのです。このときのGLとGL’の作図の仕方は二点透視図法と全く同じ方法です。だからあまり深く考えずに、三点透視図法は二点透視図法を異なるアングルから見たものを組み合わせたものと理解すればいいと思います。

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