お絵描きホーホー論

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  • 建築パースを徹底研究!パース理論の基礎知識と描き方

     パース法習得に向けてまずやるべきことは、数多くあるパースの作画の方式を一つのパターンに絞ることです。その一つを深く理解し、より実用的にアレンジすることで使い慣れた「道具」という位置づけをします。そうでないと、この次に考える予定のシチュエーションごとのパースの作画への応用がおぼつかないことになります。というわけで、今回はパースの作画の手順の一つ一つの根拠を理解しながら、臨機応変に使える「絵を描くためのパース法」を作ろうと思います。

     前回の「パース理論の予備知識」の記事ではパース法の予備知識として、基礎技法や歴史について学びました。そういった原始的なパース理論も、お絵描きパースを理解する上で結構役に立つので頭に入れておくと良いと思います。では具体的に「絵を描くためのパース法」とはどういうものを言っているのかというと、それは、完成予想図に近いパース線を描くこと、機械的でなく画面サイズや構図の違いに対応できること、シンプルにまとまっていて使いやすいことという項目をクリアしている描き方ということになります。そういったものを考案するには、やはり根底にある基礎理論を無視することは出来ません。なので、どう考えてもお絵描きでは使えないだろうという作図法もしっかりと理解し、なぜこの描き方では遠近感が保証されているのかということを知っておきましょう。

      参考文献
    • 『パース! マンガでわかる遠近法』/デヴィッド・チェルシー著/みつじまちこ訳
    • 『リアルなキャラクターを描くためのデッサン講座』/西澤晋

     ここで使用した参考文献は主に『パース!』です。過去に『スーパーパースデッサン』を読んだことがあるのですが、内容は基本的なことばかりであまり役に立たなかったので、もっと理論的に煮詰めた教本、それも建築パースでなく絵を描くことを目的とした内容のものは無いかと探し『パース!』に落ち着いた分けです。が、この本がまた厄介で、分かりやすくする為に漫画という体裁を取っているのに、漫画が活躍するのは茶番の部分ばかりで、肝心の作画の説明の部分はハッキリ言って理論書の挿絵と大差ない感じです。むしろキャラクターが前に立って邪魔です。さらに、原文が悪いのか翻訳が悪いのか、文章に主語がなかったり、手順を説明するところで発言が重複して混乱を誘ったり、分からせようという意思の感じられない言い捨てたような意味不明の言い回しがあったり。この本を読んでいるときは何やら暗号解読をしている気分でした。ただ、言っておきますが必要なパース法の知識は一通り書かれていました。他の著書と読み比べてないので知りませんが、この著者自身が「他の本で教えない部分をこの本は説明するよ」と書くくらい丁寧に書かれているのでしょう。あまりオススメ出来ませんが他にないならこの本を手に取るしかないかな、という感じですかね。ただ本というのは、自分が何を学ぶべきかという道しるべを順序よく構成してくれているので、その分野を一通り学びたいというときには、何と何が関係しているか分からないという独学にありがちな情報迷子にならずに済むので価値はあります。

     『リアルなキャラクターを描くためのデッサン講座』は人物デッサンの本ですが、後半1/3くらいはパースのことに触れています。しかも、パース法の基礎は割愛し、見栄えの良くなる画面内のレイアウトの話からいきなり始まります。つまりパース法についてというよりは画面内の「演出」に触れた内容ということです。特にカメラレンズの画角の選択について詳しく解説されていて、初めて読んだときは楽しくて仕様がありませんでした。著者がアニメーターなので映画的な映像演出の観点でパースの決め方を教えてくれるオススメの本です。特に望遠レンズの絵について知りたいなら必読です。ただしパース法の基礎は習得しているものとして話が進むので注意。

    透視図法と作画方法によるパース法の分類

     それでは、まず透視図法の種類と作図法の種類を列挙し、それぞれの組合せはどのような使い方があるかを把握しておこうと思います。こうして敵軍の編成を知っておかないと、漠然と何点透視図法だの作図法だのを覚えても混乱したり覚えきれなかったりするのが目に見えています。初期段階で細かい部分を定義して体系的に考えていくのが『お絵描きホーホー論』の方針です。

     ここでは各透視図法の違いを「消失点の数」ではなく「原寸で描かれる部分の種類」で考えています。前者の「消失点の数」で判断するのも正解ではあるのですが、消失点の数なんかはパッと見で分かりますし、何より意味が薄いです。消失点の数が意味するところは「アイレベル上にある奥行きが収束する点」というくらいで、作画するという目的においてはあまり役に立たない情報です。そこで、消失点は「何の」奥行きが収束する点なのかを考えると、「原寸になる部分からの奥行き」ということになり、それは作画に直接関係します。そもそも「消失点の数」は「原寸になる部分の種類」に応じて変化するので、こちらの考え方が作画という目的とセットで各種透視図法を扱うにはあつらえ向きということです。

     もっと言えば、立体を正面から見た四本の辺からなる「面」が原寸となるときは、水平方向、垂直方向ともに平行線なので収束する点は存在せず、必然的に奥行き方向の消失点の一点のみとなります。立体の手前の辺の高さという「線」が原寸となるときは、まずはそれを基準に側面の奥行きの方向を決めるために左右に消失点が必要となります。一番手前の頂点という「点」のみが原寸となるときは、立体の縦横高さ方向全てに奥行きがあって原寸となる部分がないということなので、それを基準に各面の奥行きの方向を決めるために三つの消失点が必要になります。というわけで各透視図法の種類の特徴は、一点透視図法は正面図の四本の辺から、二点透視図法は立体の一番手前の高さの辺から、三点透視図法は立体の一番手前の頂点から消失点に収束するもの、ということができます。ちなみにこの原寸となる部分というものは重要で、任意の位置や大きさで絵を描きたいというときにアタリ線として真っ先に描く部分になることが多いです。

     また、ここでは作図法についても触れていますが、描き方手順を詳しく説明するのは後からになります。簡単に紹介すると、「透視図法の種類」が見え方に違いを持たらすものだとしたら、「作図法の種類」はその名の通り描き方に違いを持たらすものです。それぞれの描き方は得意分野も手順も異なるので、透視図法とは別々にして考える方が良いと思いました。細かいことを言うと他にも多くの作図法はあるとは思いますが、実用的な範囲で調べた限りではここで挙げたものだけで十分と考えました。以下のtable.01は、この記事で扱うパース法の組合せの関係を把握しやすいようにまとめたものですが、ここではまだ覚えなくても問題ないです。この後の説明ではこの表を参考に話を進めますので、都度確認に戻ってくれば良いです。

    table.01 各透視図法と各作図法の組合せ・それが得意とする作図カ所

    一点透視図法 二点透視図法 三点透視図法 特徴・用法
    消失点法 奥行きの方向 四角形の角度 立体の角度
    • パースに沿った作図はできるが、寸法の基準となるものが無ければ正確な正方形や立方体は描けない。
    対角消失点法 立方体の底面の奥行きの寸法 立方体の底面の奥の頂点の位置 (二点透視の応用)
    • 正方形の対角線は45°であるという法則を利用し、正方形の底面を描くときに対角消失点を基準とする。
    • 一点透視は正面図の幅を基準に奥行きの寸法も正確に描けるが、二点透視では底面の縦、横のいずれかに寸法の基準になるものが無いければ正方形や立方体の奥行きの寸法を正確に描けない。
    M点法 奥行きの寸法 様々なパースのついた寸法 (二点透視の応用)
    • 作図により測定点を求めて、その測定点と、奥行き寸法を測りたい原寸を基準にして水平方向にパースのついた奥行き方向の寸法を正確に描ける。
    • 寸法を測りたい部分ごとに個別にM点が必要になるので効率は良くない。
    介線法 立方体の側面の奥行き (二点透視の応用)
    • 立体の側面方向に正方形の対角消失点を作図し、側面に正方形を描くときの基準とする。正確な正方形を描くためには、側面方向の正確な45°方向を知る為に、まずはMPを作図しておく必要がある。
    • 長所として、側面の対角消失点の位置関係を縮小できるため、消失点が画面外にあるときでも画面内に収まるサイズに縮小して作図できる。
    特徴 正面図が原寸 立体の手前の高さが原寸 立体の手前の頂点が視心

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