お絵描きホーホー論

理屈で絵が描ける事を証明する

自主制作アニメ『もぐらたたき組曲』のシナリオの変更点

現在制作中の『もぐらたたき組曲』は、以前の制作時にはストーリー性はほとんどありませんでした。ただピアノの練習を邪魔された上に挑発されたから逆上してピコピコハンマーで叩いてしまいました、というだけのリズムを楽しむアニメーションにする予定でした。でも今また同じ作品を制作しようというのに、なかなかモチベーションが湧いてきません。やっぱりキャラクター像が薄すぎて、キャラクターの容姿や演技に確信が持てないのが原因かと思いました。もう少しシナリオ段階から見直す必要がありそうです。

『もぐらたたき組曲』のシナリオ(Before)

簡単にプロットを書いていくと次のようになります。

  • 夕焼けの穏やかな頃にピアノ少女が弾くピアノ練習の音を響かせている
  • 難所のフレーズで何度もつまづいていると、外から模範演奏が聞こえてくる
  • その演奏はもぐらがピコピコ動く音(原理は不明)で、見せつけるように演奏をかぶせてくる
  • 少女ともぐらが敵同士である認識したところで対峙したまま空気が凍る
  • 対抗して次の曲を弾き始める少女とそれに続くもぐら
  • 難所でミスする少女と、たたみかけるように奏でるもぐら
  • 完全勝利のもぐらが少女をからかう
  • 静かに燃え始める少女の怒りで遂にもぐらたたきがはじまる
  • はじめのうちはハンマーが空振りばかりする
  • あるきっかけでさらに怒りが強まり覚醒、ハンマーが当たり始めて反撃開始
  • 終盤、もぐらは既に逃げ腰だが容赦ない少女
  • もぐらをKOしたあとに我に返る少女、目の前には目を回したもぐらたち
  • 突然申し訳なくなってもぐらたち2014.09.01-の看病(?)を始める
  • 仲直りしてみんなで音楽会、少女のピアノに合わせて体をゆらすもぐらたち

シナリオの定石

以前シナリオの書き方の勉強をするために『ストーリーメーカー』と『キャラクターメーカー』を読んだことがあります。この本によると、登場人物や物語中で起こる事件など、全ての要素にはテンプレート的な役割が当てはめられるとのことです。その役割の肩書きは神話や伝説や昔話など、古い話から引っ張ってきたものなので馴染みが無いかもしれません。例えば主人公、敵対者、贈与者、対象者というのはいわゆる主人公、敵、ヒロインなどの何かが当てはまります。起承転結も細かく要素分けされ、予兆、禁止、違反、追跡、脱出、認知などいろいろあります。

以前制作していた『もぐらたたき組曲』にはこれらの要素が全く含まれていません。適当にノリで作ったストーリーなので、お決まりの展開が続くだけで必然性というものがありません。だからスムーズにストーリー運びを受け入れることはできるかも知れませんが、記憶に残りません。新たに作るときはもっとキャラクターや舞台を掘り下げます。

『もぐらたたき組曲』のシナリオ(After)

まず少女がピアノを弾く目的を決定します。でないと作品を見る人はただの音楽アニメという認識で見始めてしまいます。それではCMを見る程度の記憶しか残らないので面白くありません。たとえ短い作品であっても主人公の状況説明をさりげなく入れておく必要があります。まずはお客さんに主人公と同じ視点に立ってもらわないと、というよくある演出方針ですね。

次に、ピアノ少女ともぐらという敵対関係の構図だけでは簡単すぎて退屈かも知れません。もう一人くらい異なる立場のキャラクターを投入してみたいと思いました。例えば、怒った少女がハンマーを手に取るというところを、誰かがハンマーを手渡すというようにするだけで行動のきっかけが一気に複雑になります。このあたりはいろいろ考えてみます。

あとクライマックスで少女が我に返って仲直りするなど、きれい事が過ぎますね。自発的にもぐらに対して慈悲を向け始めるという流れがうさんくさいです。和解せずに対立したまま別の勢力によって戦いが中断されるとか、強力な仲介力によって和解するということになれば、現実的な嫌な感じになって世界観に深みが出てきそうです。

ただし、今作ろうとしているのはあくまでリズムアニメなので、ストーリーは映像の背景に追いやって質感として残す程度にできればと思います。下手なストーリーを全面に押し出しては痛い目を見るだけなので。結局は作るための明確な方向性やモチベーションが大事ということですね。

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