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wacomペンタブレットのスペック解説 〜この数値どういう意味?編〜

デジタルで絵を描くならペンタブ!ということがごく普通の時代になりましたが、ペンタブも常に進化しています。数年前にペンタブを買って愛用している人でも最新機種がどのように進化しているのか把握していないなんてことはないでしょうか。最近では液晶タブレットやワイヤレスでないペンタブでは物足りないというところまで来てます。

ペンタブの今を考えてみる

ペンタブはデジタルお絵描きのツールですが、そうなると勃発するのがデジタル絵とアナログ絵の優劣議論です。この議論の答えはいまだに納得できるものを見たことがありませんが、そもそも正解を探すこと自体、野暮なことかもしれません。こういう場合は、デジタルとアナログのメリットの恩恵を最大限に受けられる組み合わせを考える方がお得です。デジタル環境では、高価な画材を買わずして自由に線を描き、色を塗り、仕上げ処理をし、作品を経年変化させずに保管し、全ての作業を同じ環境で行い、作品をスムーズに公開できます。アナログ環境では、実際にモノを生み出す面白さと、予測できない有機的な仕上がりと、唯一の価値を持つ原画を生み出します。ではデメリットは何かというと、それほど気にすることは思いつきません。強いて言うなら、仕事として絵を納品するときのシステム的な問題だけで、そういった問題はちゃんと調査すれば解決できることばかりです。ちなみに、デジタル環境では画材の出費がないと言いましたが、実際は消費電力やメンテナンスに出費が必要であることを忘れてはいけません。

こういったデジタル vs アナログ論争は決着がつきませんが、絵を描くという行為を主役としたおもしろい企画はデジタル技術によるものが多いと思います。ネット配信やステージでのライブペインティングなどが挙げられます。これはアナログでも可能なことですが、デジタルに比べて段取りが非常に簡単になります。絵を描く行為は人知れず地味にこなす作業だったものが、創作する面白さそのものを個人レベルで簡単に人々に伝えられるようになったと思います。まあこれはペンタブに限った進歩ではありませんがね。

ペンタブのスペックの意味を解説

ペンタブというとwacom製のものが定番です。他にメーカーはありますが、スペックやデザインを見るとやはりwacomに行き着くことだと思います。どれを買うか比較しようと思ってもどれが良いのか分からないので、各スペック名の意味を解説します。今回はサンプルとしてwacom Intuos Pro small Sサイズ PTH-451/K0のスペック表を見ながら解説していきます。

Bamboo Pad, wireless(CTH300K)のスペック

01 読み取り方式

専門的な説明をすると、どのような非接触電力伝送技術を使ってペンの動きを読み取っているかということです。ペンタブの構造は小さなコイルが敷き詰められた装置で、通称電子ペンと呼ばれるペン側を近づけて動かすことで誘導電流を発生させ、その電流が発生した座標にマウスポインタを移動させるという仕組みで動いてます。ペンとタブレットはペン先しか接触しないのにちゃんと反応するのは非接触電力伝送を行っているからです。そして、ペンタブでは一般的に電磁誘導方式を採用しています。

その他にも静電容量方式といものもありますが、こちらの方式は主にスマホなどのタッチパネルに採用されているものです。電磁誘導方式と静電容量方式の違いは、電子ペンで操作するか、指先で操作するかです。その両方の方式を取り入れたペンタブが液晶タブレットです。通称液タブはペンタブとしてもタッチパネルとしても使えます。

02 読み取り可能範囲

ペンタブ本体の描画領域のこと。つまり、ペン先を近づけたときに反応する範囲のこと。wacomのペンタブの機種別のサイズでは、smallからExtra Largeに向かって広くなります。これはドライバの設定で範囲変更可能です。

03 読み取り分解能

ペン先の動きをどこまで細かく読み取れるかというものです。もっと具体的にいうと、ペンタブ本体にペンの動きを読み取るポイント(コイル)がどれくらい配置されているかというものです。intuosでは最高0.001mmとありますが、人間の手の動きをここまで細かく読み取れたら十分です。

04 読み取り精度

ペンの動きを読み取ったときの座標の誤差のことです。上で述べた読み取り分解能は0.001mmとありますが、ペン先の太さはおよそ1mmくらいあります。これでは電送側と受電側の大きさが違いすぎて、どのポイントで読み取るべきか正確に判断ができません。読み取り精度はその許容範囲という解釈でいいと思います。

05 読み取り可能高さ

ペンとタブレットを近づけたときの、マウスポインタが反応し始める距離です。

06 筆圧レベル

筆圧を感知する感度のことです。感度が低いもので512レベル、次に高いのが1024レベル、最高で2048レベルの機種があります。筆圧レベルはソフト側の設定で低くすることもできるので、大は小を兼ねるという考え方でいいです。

では、この筆圧レベルの数値は何を示しているのか。それは筆圧の力加減による太さの変化の滑らかさです。例えば、人間の力加減が0〜100まであるとします。このとき、筆圧レベルが100だとしたら、描画される線の太さは100段階ということになります。もし線の最大太さが1cmとしたら、線の太さが0.1mmきざみで変化することになります。でもこれってカクカクの線になってしまうと思いませんか? wacomのペンタブは最大で2048レベルなので、それはもう滑らかな筆圧検知となるでしょう。

07 傾きレベル

ペンの角度を検知して線の太さを調節する機能の感度です。アナログで筆を使った場合、筆の角度によって線の形や太さが変わりますが、それを再現する機能です。他にもエアブラシモードではインクの飛び散る範囲が変化します。

wacomのスペック表には、傾きレベル±60と表示されてます。この数値は何を表しているのでしょう。調べてみましたが詳しい情報がなかったので予想でしかありませんが、おそらくペンの角度のことではないでしょうか。つまり前後左右に60°まで傾きによるニュアンスを再現できるということだと思います。

まとめ

今回はペンタブのスペックの項目の意味を解説しましたが、もう少しペンタブに詳しくなるには機能の理解と、実際に使用するときの設定なども知っておくといいですね。次はどの機種ではどんな機能があって何が実現できるかというところを調べてみましょう。

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