お絵描きホーホー論

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  • ヘアカットとデッサンを関連づけて考える髪の描き方

     髪の毛の描き方を学ぶには少し手間がかかります。人体骨格とは違って、髪の毛は体の一部でありながら決まった形を持たないからです。人類がサルからヒトへと進化するまで数万年を費やしているのに対し、ヘアスタイルの進化は毎年起こります。そんな流動的なものの解剖学を学んでもすぐに役に立たなくなってしまいます。この問題を解決するにはヘアスタイルの解剖ではなく、ヘアスタイリングの解剖を行うべきです。

     ではヘアスタイリングを学ぶとはどういうことかというと、既存のヘアスタイルというのはヘアスタイリングの結果であって、それとは別のヘアスタイルを学ぼうとしてもどのように相互の共通点を探せばいいのか分かりにくいです。ですがヘアスタイリングを学んでいれば様々なヘアスタイルが完成するまでの過程の分岐を樹形図にまとめ、その樹形図でヘアスタイルを相互に関連づけることが可能となり、情報の蓄積に都合が良い思考体系が構築されます。まずはそこを目指して、今回の記事では理容師のためのヘアカット理論に軽く触れています。その後でヘアカット理論とお絵描きを関連づけていけばいいのです。

    記号化による髪型デッサン

     髪を描くのに滅茶苦茶リアルに描こうとする人は少数だと思います。何故ならそれは大変だから。それにこれは個人的な好みですが写実的に描かれた絵というものにはあまり興味がなくて、どちらかといえば、何故こんなに省略しているのになぜこれだけの質感を帯びているのかという方が見ていて面白いです。そういう点で漫画絵というのは是非とも描けるようになりたいものではあります。では漫画絵を真似すれば髪が描けるようになるのかというと、そんなに容易いことではありません。

     言うまでもないですが、漫画絵といってもその参考資料となるものは星の数ほどあります。そして絵柄も当然様々で、髪の描き方一つ取ってもその方法は様々です。それは長い年月をかけて漫画絵の記号化というものが研究され、派生が派生を生んでいるからです。そこから色々と吸収して新たな派生を生み出すという道もありますが、そこでミソとなるのがいかに記号化されているか、といことです。ただいくつかの表現をミックスしたのでは根拠がなく、あまり見る価値が感じられません。やはり描く人自身が何を表現しようとしているかを感じられる絵柄こそが芸術なんだと思います。しかも冒頭で述べた通り、髪の毛には決まった形はなくそれ自体が芸術です。その芸術を今度は絵に取り込もうというのですから、やはり実物に対する理解というものが必要なのではないかと思うわけです。

    ヘアカット理論について

     実物の髪に縁があると言えば一年中髪の毛をさばいている理容師です。理容師がヘアスタイルをデザインするには当然ながら専門知識を必要としますが、それをお絵描きにも持ち込んで見ましょう。実際のヘアスタイリングやヘアカットは絵を描くのと違って、表面に見えている部分の髪の毛だけでなく、もっと下層にある髪の毛のデザインまで念頭に置いています。しかし、いくら絵を描く行為が二次元のことだとしても、髪の立体感を記号化するには髪の下層に対する観察力を必要とします。その観察の目的はなぜ髪の立体感が生まれているのかを理解することであり、そこでヘアカット理論が役に立ちます。そういうわけで、髪型をデッサンする方法を考えるための材料として、頭皮の構造や、どの部分をどう切っているのかなど、髪について予備知識を蓄えておきましょう。

     参考にしたサイトのうち分かりやすかったのがヘアサロン情報サイトRasysaの「知っておきたいカットの基礎知識」のコーナーです。ここでは髪を切るときの長さのバランスの考え方や、頭皮の髪の分布をセクションで考えたり、髪のボリュームを調性する特殊な切り方の解説など、髪をデッサンするのに生かせそうな情報が得られます。

     特に役立ちそうと感じたのは、髪型に段差をつけるレイヤーの考え方、髪を部分で分けるセクションの考え方、完成形の大まかなイメージのスタイルの考え方などです。それぞれ、毛先が見える部分がどの程度あるか、髪を塊で考えてデッサンできるか、全体のバランスを取るための基準となるイメージはどのようなものか、などを考える手がかりになります。取りあえず、ここではデッサンする方法を考えるのではなく、何となく目を通して良い閃きがあれば儲けもんってくらいに思っています。

    ヘアカット理論とデッサン表現の組合せを分類

     やはり抽象的なことを理解するには言葉による分類が最適です。というわけで、先ほど述べたヘアカット理論でなされていた分類をどうにかしてお絵描きに関連づけます。どのように関連づけるかというと、髪型の構造を論じているヘアカット理論から、実際に髪をデッサンする具体的な表現方法に向かってトップダウン形式に掘り下げていきます。ここでは「髪型のスタイル」「スタイルを構成するパーツ」「パーツを構成する要素」「構成要素を表現する線」という四段階を設けて「掘り下げる」イメージでそれぞれの段階にいくつのパターンが存在するのかを把握しておきます。では、これらの四段階というのは具体的にどのようなものなのか説明し、fig.01に図解を載せておきます。

     まず第一段階の「髪型のスタイル」とは言葉の通りヘアスタイルのことなのですが、ただ単にロングヘアとかショートヘアという漠然としたものではなく、カットの仕方による分類を行います。例えば「ワンレングス」というスタイルは、統一感のある長さでカットするスタイルなので、全体的に同じ方向に同じ長さで線を描くようにデッサンすることになります。逆に「レイヤー」というスタイルは部分によって長さを変えながらカットするものなので、全体的に毛先のシャキシャキした線を描いて表現することになります。他に「グラデーション」などがありますが、そういったスタイルの種類をしっかりと分類してまとめ、髪型デッサンをする度に参照するようにします。つまり分類の一段階目は、これからデッサンする髪型の描き方を考えるために必要な情報を把握するものと言えます。このときに髪の長さや前髪の分け目なども決めておくと良いでしょう。

     第二段階の「スタイルを構成するパーツ」というのは簡単に言えば髪型のブロック分けのことです。何万本もある髪の毛の状態を把握することは不可能なので、一塊の髪の束として考えてデッサンしやすくする方法ですが、これはよく知られた方法ですね。このパーツは全部で「フロント」、「トップ」、「サイド」、「インナー」、「ネープ」の五種類とします。そして、パーツの組合せや状態はスタイルによって様々なので第一段階を決定した後で考えるべきです。ちなみに、実際に美容師がヘアスタイリングするときにはこれらのパーツにそれぞれ役割があるらしいので、例えばトップは髪型の表面に現れることが多いとか、逆にインナーは下に隠れるなど、どの部分を先に描くべきかといった、デッサンするときに役立ちそうな考え方ができるという利点があります。

     第三段階の「パーツを構成する要素」は、パーツという集合体を作っている髪の毛の単体(一本)の状態を把握することで、どう表現すればそれっぽく見えるかを探るのが目的です。これらの要素の状態次第でパーツの形状は変わってきます。では、その状態とは何かというと、髪の毛の「流れ」、「長さ」、ウエイト(形)」などが考えられます。「流れ」は始点と終点があって初めて成立し、「長さ」はそれらの点の間隔のことで、そしてそれらの集合で「ウエイト」が決まります。ここで「ウエイト」という言葉を用いているのは、髪型というのはファッションなので正確な形を捉えるより、どのあたりが強調されているかというニュアンスで捉えた方が絵に生かせると思うからです。とりあえずは『お絵描きホーホー論』の考え方でおなじみの、点、線、面というような図形の性質を参考にして表現方法の分類のキッカケを探そうと思います。特に「流れ」については、実際の髪型の構造で言えば「つむじ」や「分け目」などがそのまま基準になるはずです。

    最後の第四段階の「構成要素を表現する線」は描き方そのものを選ぶところです。ここでは難しく考えることはなにもなく、ただ単純に髪の毛の立体感を再現するには輪郭線はこう描いて、この軌道で流れを描いて、毛先はこうはねる、というように表現したいものに適した線の種類を予め準備しておくというだけです。今思いつくだけでは「輪郭線」、「流れ線」、「交差線」、「根元線」、「毛先線」というものを考えています。もっと簡単に言えば、先入観にとらわれてぎこちない線を描かないために、最低限の質感は表現できうるであろう記号化された線を選択して使おうということです。


    fig.01 髪のデッサン方法の分類の四段階

     これら四段階の全体の流れは、第一段階でどういうものを描くかを決め、第二段階で大まかな外形を描き、第三段階で質感を探り、第四段階で線を描く、という感じになります。このように目的とするイメージに少しずつ近づいていく過程にしっかりと分類されたレシピがあれば、どうやってデッサンすればいいのかが大いに考えやすくなると思います。今回の記事では参考サイトをサッと読んで思いついたことをまとめただけになりましたが、このアイデアをもう少し調査した上で固めて、それぞれの関係をもっと具体的にまとめていきます。目標は様々なシチュエーションに対応できる組み合わせ自由な便利な道具箱を作ることです。

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